特定秘密保護法案の成立について

 遂に特定秘密保護法案が成立した。良識の府、熟議の府とも言われる参議院で良識的議論も熟議も行われることなく、あっという間に成立してしまった。予想通りとはいえ、この国における民主主義実現への道が後退する決定的第一歩となったことが残念至極である。国民の人権がより一層損なわれる第一歩が記された日は奇しくも、アパルトヘイトという深甚な人種差別問題を撤廃に導いた南アフリカのネルソン・マンデラ元大統領が逝去した翌日であり、日本が侵略先で取り返しのつかない数々の人権問題をも引き起こす発端となった、太平洋戦争の開戦日でもあった。これから政府与党は、憲法解釈の見直し、改憲に取り掛かり、集団的自衛権の発動に備えるだろう。今年に入ってより強まった中国と北朝鮮の覇権主義は、再軍備化を目論む現首相・政権にとって、既に都合の良い口実となっているように見えるが、6日の出来事はそのことを再認識させるに充分だった。法案成立に際しては、アメリカのオープンソサエティ財団が、ツワネ原則に照らしつつ、21世紀の民主主義国家で最悪レヴェルの決定だとの声明を出したことが報じられている。また、この出来事の陰で、経産省が原発を重要な電源として活用していくことを明確に表明したほか、政府はこれまた人権軽視の問題を孕む改正生活保護法と生活困窮者自立支援法を成立させた。

 これからが長い道のりとなる。前回ブログで書いた通り、この出来事が逆に日本における民主主義確立のチャンスになり得る。それを実現し得るのは市民による粘り強い異議申し立てにほかならない。

 

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