戦争と原発の是非こそが最大争点である。


 「デモで、再稼働はんたーい!って叫んで、何か変化はあったかい?ぼくの周りの結構頭のいい人たちは、こういう人たちを冷やかに見ているんだよ」、「選挙の結果、日本が戦争しなきゃならなくなった時、きみは周りにライフル撃ちまくって行きたくない!って叫ぶの?ぼくは、そうなったら必ず行くよ。多数決が民主主義なんだよ」、「安倍政権がどうの言うけど、誰が首相になっても同じだよ」


 参院選が間近である。自民党は改憲を争点隠ししていると言われる。その通りである。このことを敷衍すれば、自民・公明の両党は、戦争の遂行を最終目的とする改憲を争点隠ししている、となるだろう。両党が隠すもう一つの争点は、原発再稼働の是非である。そしてこれら2つの争点が今回の参院選の「最大争点」でなければならない。これまで自民党は公明党の助力を得ながら、特定秘密保護法、戦争法、原発、TPP、辺野古への基地移設、報道弾圧、格差拡大、改憲と、日本そのものを壊滅に追いやる諸政策を、民意を無視する形で矢継ぎ早に達成ないし推進してきた。これらのうち、特定秘密保護法と戦争法が参院選、衆院選でそれぞれ公約に明記されていなかった(したがって、争点ともされていなかった)のにも関わらず、あっと言う間に成立してしまったことは記憶に新しい。これら2つの、非民主主義的かつ時代錯誤な稀代の悪法が、民主主義的手続きそのものすら踏まえずに成立したことにより、戦争遂行の為の法律的な基盤整備がひとまず済んだと言って良いだろう。次はいよいよ改憲である。今もって現政権の支持率が4割と報道される状況を見るにつけ、自民党の改憲草案を読んだことのある日本国民というのは、いったい何パーセントくらいなのだろうかと考えざるを得ない。この草案で最も危険なのが緊急事態要項である。自民党にとって改憲のハイライトであり、一方、国民にとって最も生存そのものが脅かされるのが、この要項である。この要項を含め、自民党の改憲草案全体が、基本的人権と国民主権、個人の尊重を根本から剥ぎ取り、戦争を可能とするものである。繰り返すが、今もって国民の4割が現政権を支持していると言われる。ごく大雑把に言えば、経済への期待がそうさせるのだろう。それを先取りするかのように、自民党は、既に多くの識者によって(欧米諸国においても)破綻していると断言されているのにも関わらず、アベノミクスによる経済成長の可能性を強調している。しかし、このブログでも再三書いてきているように、経済も何も、命があってこそである。3.11以後の全ての選挙はすべからく原発の是非(より詳細に言えば、原発の再稼働と廃炉の是非)が最大争点となるべきであった。今度の選挙は、これに改憲の是非が加わなくてはならない。目下問われている改憲の是非とは、要するに戦争の是非である。そして、これら2つの問われるべき争点は、ほかの全ての争点よりプライオリティーが高いどころか、「最大争点」となるべきものである。正確に言えば、政党サイドが「最大争点」として位置づけるべきものである。政権与党がそれらを隠しているのなら、国民が投票にあたっての「みずからにとっての最大争点」として捉えなければならないのではないか。自民党の改憲草案を読んで、正しい判断を導き、投票して欲しいと切望する。


 ここで冒頭の引用に戻る。ある人から、興奮と蔑みをない交ぜにした語調でこのようにまくし立てられたのは、1年半くらい前のことだろうか。ちなみに、私の周りの芸術家や知識人で、原発問題と民主主義をこのように理解している人は皆無である。原発と戦争を肯定し、遂行することには何の理もなく、あるのはごく一部の人たちにとっての利だけである。しかし、私の経験では、既得権益に与っていないにも関わらず、原発を否定することは耐え難いのと感じるある人たちが存在するのは、不思議なことだが事実である。一方、戦争については、さすがに積極的に肯定する人は滅多にいないが、中国脅威論を持ち出して、軍備増強は仕方が無いと強調する人たちはそれなりに存在する。しかし、この2つの問題は(ほかのあらゆる政治的問題においてもそうだが)、冒頭の引用のように、対話を封じ込んだり拒んだりするようなやり方ではなく、理性を持って議論することが出来れば有意義であることは言うまでもない。極端に体制迎合的な立ち位置でなくても、また、強い保守的意識に貫かれた信念に基づいた立ち位置でなくても、現政権支持でなくても、原発再稼働や改憲が「何となく」必要だと考えている人たちは少なくないのかもしれない。そして、そうした人たちは今度の投票先を迷っているかもしれない。選挙間近になっても投票先を決められない人は多いが、それもよく理解出来る。しかし、念入りに情報をリサーチし、理性を持ってさまざまな立ち位置の人と議論すれば、おのずと投票先は「かなり」絞られてくるはずである。

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