Social Arts Projectの立ち上げと原爆の図 丸木美術館公演について。

 多忙と怠惰を理由に長いことブログの執筆が止まったままでした。これまで原発の問題点にはじまり、現政権の問題点を折りに触れて書いてきました。それらと並行して、反核反戦を訴えるさまざまな公演にも出演してきたのですが、今春立ち上げたSocial Arts Projectは、それを定期的に行おうとするプロジェクト/ユニットです。このプロジェクト/ユニットは、音楽家/音楽プロデューサーの玉響海月さん、美術家の村田訓吉さん、それに私の3人で結成したものです。われわれは今後、芸術の立場から社会へのコミットメントを実践的に行う予定です。その旗揚げ公演が明日、原爆の図 丸木美術館にて行われます。今回はわれわれ3人が2つのユニットに分かれ、それぞれパフォーマンスを行います。私は村田訓吉さん、美術家の石川雷太さん、舞踏家の百一(Baiyi Yang)さん、ダンサー/俳優の実験鉢ムダイさんとセッションをします。そして、Social Arts Project同人以外にも、国内外のさまざまな即興音楽シーンで活躍中のユニットおよび個人がゲスト出演します。

 われわれは、戦争と核(もちろん原発も含む)に反対し根絶を願っています。言うまでも無く、抑止力としてのそれらも認めていません。今回、丸木位里・俊夫妻が制作した『南京大虐殺の図』や『アウシュヴィッツの図』が展示された空間の中で行われるパフォーマンスには、広島被曝二世のかたも参加されるほか(玉響海月さんと庄司勝治さん)、核兵器保有国である中国から百一さん、同じくアメリカからMarcos Fernandesさんが参加されます。なお、他の出演者は全員日本人ですが、その日本も周知の通り戦争と核兵器に関して国際的問題を抱えているがゆえに、外国から批判を浴びています。これら3ヶ国のアーティストが「反核反戦のトポス」たる原爆の図 丸木美術館の特別な展示室でパフォーマンスを敢行することには、大きな意義があります。

 地理的には川越以北にお住まいのかたでないとアクセスしにくい所ではありますが、ありがたいことに実に多くのかたがたにご興味を持っていただいています。この企画の趣旨をご理解し、お気持ちだけでも支援して下さると大変嬉しいです。

(この公演は無料ですが、美術館入館料が必要です。現在開催中の企画展「広河隆一 戦場の子どもたち」展と常設展示ももちろん観られますので、是非ご覧下さい)

以下はイヴェントの開催概要です;

Social Arts Project vol.1

開催日時:2018年12月1日
12:30〜16:00
開催場所:原爆の図 丸木美術館(埼玉)
〒355-0076 埼玉県東松山市下唐子1401 
TEL:0493-22-3266
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/

主催:Social Arts Project
プロジェクトメンバー
村田訓吉,小森俊明,玉響海月(発起人)
お問い合わせ:info.socialarts@gmail.com

●イベント主旨

丸木位里・丸木俊夫妻が描かれた「原爆の図」は原爆をテーマとした極めて高い社会性を持つ作品ですが、同時に普遍性を持つ芸術作品です。
また丸木位里さんは労働争議や社会運動を経験されていることから分かるように幅広い社会的視野をお持ちでした。
こうした幅広い社会的視野を持たれていた丸木位里さんゆかりの丸木美術館でのイベントは、創造性と社会性を持つ普遍的な表現活動をめざすものでなければなりません。
表現活動は、生産活動や政治活動と同様に人間の社会活動であり、人間の自由と幸福の実現に貢献するものだと考えます。
そこで、「Social Arts Project 」は、反戦・反核を共通認識としつつ、社会に貢献する創造的表現活動と位置づけて展開していきたいと思っています。

出演者

世界平和憲法オーケストラ(World Peace Consutitution Orchestra)
鵺魂+ワガンセ
阿呆船
Maresuke
Marcos Fernandes+JanMah
加藤崇之
M.A.S.H

出演者プロフィール(演奏順)
世界平和憲法オーケストラ(World Peace Consutitution Orchestra)
石川雷太/美術家。鉄、ガラス、言葉、骨、放射性物質、武器、TVニュースの画像、ノイズ音など、多種多様な引用(=サンプリング)によって構成されるインスタレーションにより、古い思考のブレイクスルーを促す。1997年よりノイズ・パフォーマンス・ユニット『Erehwon』を主宰。金属の打撃音・摩擦音をライブミックスする即興演奏を行う。密教系芸術集団『混沌の首』共同主宰。3.11以後は、放射性廃棄物ドラム缶を日本中に運びパフォーマンスを行う。音楽家、舞踏家、ダンサーとのコラボレーション多数。展示は、森美術館、府中市美術館、丸木美術館、BIWAKOビエンナーレ、SYプロジェクト他。
小森俊明/現代音楽、classic、異分野のartistとのcollaboration、free jazz、合唱の各分野で活動。国内・世界各地で楽曲を発表。脱原発、反核反戦の立場で作曲、演奏活動を行う他、世界百人の作曲家が参加する「ヒバリ震災義援音楽配信プロジェクト」における世界中への楽曲配信、「奇跡の一本松」から作られたViolinを世界の千人の演奏家が弾き継いでいくプロジェクトのNew Zealand版に委嘱されての楽曲提供等、3.11復興支援にも参加。また、現代芸術に関する執筆活動と英文科学記事・論文の翻訳等も行う。桐朋学園大学講師を経て現在、日本イザイ協会顧問、芸術メディア研究会会員、集団即興集団「空観無為」メンバー他。日本交響楽振興財団作曲賞、東京国際室内楽作曲コンクール、他多数入賞、入選。著書に、『アート・クロッシング 創刊号 特集:池田一と水たちよ!』および『アート・クロッシング第2号 特集:豊住芳三郎』(以上、TPAF刊 共著)がある。東京藝術大学、同大学院修了(作曲専攻)。
実験躰ムダイ/舞踏などを取り入れた実験的身体パフォーマンス。様々なジャンルの音楽、芝居、絵画、朗読、ダンサーなどと即興を中心に身体でコラボレーションし、表現と、身体の可能性を追求している。その他にも役者、ボイストレーナー、美術モデルとしても活躍している。
百一(Baiyi Yang)/中華人民共和国山東省淄博市出身。6歳からダンスを始め、15歳からモダン・ダンスを習い、その後、太極拳やヨガなどを学び、次第に自分のスタイルを形成、2014年から桂勘、原田伸雄各師のもとで日本の舞踏を学び始める。2016年9月山東にて『百一の実験ダンス』特別公演、2016年10月「胎児の夢」北京公演など
に参加。
村田訓吉/1954年生まれ。1974年から制作活動を開始。南風椎主催のオノヨーコさんや岡本太郎さんも参加した国際巡回展神展に参加後コンセプチュアルアート活動を続け南風椎訳の日本国憲法前文や1000の風を詠いWorld Peace Constitution Orchestra!を立ち上げ日本憲吉と名乗り活動中、増山麗奈制作映画「サダコの鶴」制服向上委員会生誕25周年記録映画などにも出演、その他音楽や詩朗読等他ジャンルの平和活動をコンセプチュアルアートの一環として活動している。村田訓吉本名で国際アートプロジェクトP3578をキッズゲルニカ日本代表金田卓也教授と共に立ち上げ共同代表をつとめる。「平和を望まないアートは無い。なぜならば人間の平和な暮らしこそがアートを作り真の平和とアートを叫び続けるからだ。」
■ワガンセ(waganse)
インプロヴァイザー庄子勝治と、ダンサー不二乃家舞(hujinoya mai)によるDuo。
庄子勝治/広島出身、被爆二世。サックスを故井上敬三氏に師事。ありとあらゆる表現、事象とセッション、その類いまれなる音は国内外から支持を受けている。故郷広島を愛し平和への思いを胸に演奏し続ける。
不二乃家舞/岐阜出身。長年ベリーダンサーとして活動するも突如、独自の創作即興ダンスを始め、庄子氏と「ワガンセ」を結成、主宰する。2017年春より広島へ拠点を移し絵画制作発表にも積極的に挑む。
■鵺魂(nuetama)
鳴りもの、エレクトロニクス、ノイズ、琵琶、声(浄瑠璃etc.)を空間に置いていく即興デュオ。玉響海月と玉響海星によって2016年に結成。
玉響海月(tamayurakurage)/1958年広島生まれ。被爆二世。2013年からMなどを使用した音楽作品の制作を開始し、Bandcampに発表。これまで、ノルウェー・ドイツ・イタリア・ロシア・アメリカ・スコットランド・イングランドなどのネットレーベルに作品を提供。2015年3月よりエレクトロニクス・自作パーカッション・鈴などを使用したライブ活動を開始。2016年に「鵺魂」を結成。
玉響海星(tamayurahitode)/1961年生まれ。2016年、玉響海月とともに即興デュオ「鵺魂」を結成し、声、琵琶を使った即興演奏を開始する。2017年、ポーランドのネットレーベルからCD「Five Layers」を発表(企画、プロデュース:Jan Fanfare)。
■ 阿呆船
鈴木峻(sax、歌)、栗原優(ds)、柳原たつお(bass)
2006年頃より、東京新宿の路上で演奏を始める。幾度かのメンバーの変遷あれど、現在も路上演奏続行中。バンド結成のきっかけは、錦糸町地下道のホームレスおっさんが殺された事件だった。この世は未だ、煉獄なり。
■Maresuke/コントラバス奏者。本名は岡本希輔(おかもとまれすけ)。1960年東京生まれ。6歳からピアノ、14歳でコントラバス。17歳で即興表現を開始。大学在学中にオーケストラを退団し、コントラバス・ソロを始める。故吉澤元治氏に師事。アコースティックな器楽演奏家・ダンサー・アーティストとの交流を好む。ソロ活動の表現者を中心とする”毒食”、少人数編成のコラボレーション ”中空のデッサン”を主宰。また、集団即興表現の”The Tokyo Improvisers Orchestra” の基幹メンバーでもある。2011年からは活動の中心をヨーロッパに移行し楽旅を開始。MIA(Portugal)、BerIO(Berlin)、The Clock Stop Festival.Italy)、LIO(London)、Vienna Improvisers Orchestr(Wien)等に参加。Guy-Frank Pellerin(ss, ts Italy)、Matthias Boss(violin Swiss)、Marcello Magliocchi(perc Italy)とヨーロッパツアーを継続中。2017年にはオーストリアのウイーン日本大使館で単独コンサート。イギリスFMRレーベルからCD”SEZU”発売。
■マルコス・フェルナンデス(Marcos Fernandes)
横浜に生まれ、カリフォルニアで30年以上パフォーマー、プロデューサー、キュレイターとして過ごす。米国、カナダ、メキシコ、ポルトガル、香港、日本の各地で、ソロのインプロヴァイザー、フォノグラファーとして公演し、またパーカッショニスト、サウンドアーティストとしてさま
ざまなアンサンブル、ダンサー、ビジュアルアーティスト達と共演。作品は、Accretions、Bake/Staalplaat、Circumvention、Cobra Discos、Disk Union、Enban、Less Than TV、Pax、Pfmentum、Phonography.org、Public Eyesore、Solitary B 他から60点以上発表されている。現在のプロジェクトは、アルゴノーツ、メルト、タナボタ、わびさびくらぶ、ザ・メタファーズ、東京フォノグラファーズ・ユニ オン他。
■JanMah (ヤンマー)/ Guitarist、composer。本名 嶋村 泰、1968年生まれ。
13歳から独学でギターを始め Rook、Bluesなどを基本に演奏してきた。故 塩次信二、ローラーコースター、ポールジャクソン他、ブルース、ロックなどのミュージシャンの前座、共演などを経験。1996年サンフランシスコ滞在時にJAZZクラブで即興演奏(Free improvisation)を体験し即興演奏に徐々に傾倒。ヒカシュー・巻上公一、内橋和久、Maresuke、加藤崇之、ノルウェーのトーマス・ストレーネン(ECM)他、多くのミュージシャンと共演。井土紀州監督「彼女について知ることのすべて」、渡辺あい監督「magma」他、映画音楽にも携わる。2016、2017年、やなぎみわトレーラー演劇「日輪の翼」にギター、楽隊リーダーとして参加、劇中での即興演奏、楽曲を提供。また、トレーラープロジェクトとして、2016年 奈良大芸術祭、2017年 神戸港都芸術祭に楽曲を提供。
■加藤崇之/19才でジャズ界デビュー。その後、数多くのグループに在籍。ジャズのみならず基地のディスコバンドやブラジル人とのサンバグループなどいろいろな音楽の経験をつむ。三十代になりスタイルがフリーに移行。現在はアコースティックギターのソロ、エレクトリックギターのソロ。エレクトリック渦。トリオなどのリーダー活動以外に松風紘一グループ。宅シューミー朱美(歌、弾き語り)との夢デュオ。蜂谷真紀(歌、ピアノ)とのミクロマクロ。さがゆき(歌、ギター)とのシナプス。オチョコ(歌)とのフロウ。などいろいろなデュオユニットで活動中。他に西澤早苗(弾き語り)とのボッササウダージ。柳家小春(三味線弾き語り)との和ボサ。大沼志郎(ドラム)とのインプロなどデュオでの活動が多い。ライブはフリーインプロヴィゼーション以外にもオリジナル曲、ジャズ、ボサノバなど幅広く、海外での演奏経験や外国ミュージシャンとの活動経験多数。レコードやCDの参加も多く、今年に入り自己のリーダーグループであるエレクトリック渦でイエロービジョン。蜂谷真紀とのミクロマクロで曲の飛び出す絵本。宅シューミー朱美との夢デュオで蝉時雨。など新作のCDを発表。
■M.A.S.H
雨宮拓(p)/1955年生まれ。小学校時代の合奏部、合唱部で音楽の楽しさに目覚め、中学に進んでから独学でピアノを始める。高校では級友と、リコーダー、自作管打楽器による4人編成のインプロバンドを結成し、ジャンジャン(渋谷)、プルチネラ(渋谷)などに出演。1974年、結成直後の「ニュージャズシンジケート」に参加し、国内外のミュージシャン多数と共演。グッドマン(荻窪)、騒(初台)、東夷(新宿)などでライブ活動を開始。1998年から富樫雅彦のフリージャズユニットに参加、2001年の引退まで共演を重ねる。現在は、M.A.S.Hや自己のユニットなどで演奏している。
大沼志朗(ds)/1954年生まれ。1973年頃より音楽活動を開始し、1984年、モダンジャズを中心とした自己のバンド「大沼ジャズユニット」を結成。1986年、不破大輔(b)、川下直弘(ts)と「フェダイン」を結成、ドイツ、リトアニアなどをツアー。1989年「渋さ知らズ」に参加し、ヨーロッパをツアー。2003年、森順治(as)、スガダイロー(p)、とM.A.S.Hを結成。その後ピアニストは板倉克行(2006年より)、雨宮拓(2009年より)に代わる。2005年よりHeinz Geisserと「drums duo」を開始。現在はM.A.S.Hを中心に、さまざまなバンドで活動を続けている。
森順治(as bcl fl)/1953年生まれ。1974年頃、八王子「アローン」を拠点にフリージャズの演奏活動を始める。1976年「集団疎開」、1977年「生活向上委員会」の一員として活動。遠藤ミチロウ、友部正人らのフォーク系ミュージシャンとの共演も重ねる。また人形劇団かわせみ座の音楽も長らく担当する。2006年から2009年まで自身の企画による「多摩音楽講」を開催、いわゆる「フリージャズ」に留まらない多様な即興を試みる。現在は、M.A.S.Hでの活動をメインに、随所にてさまざまなインプロヴィゼーション・セッションに参加し、多忙な日々を送っている。

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