原発ゼロはいつ達成されるか

 原発事故から1年半が経過した。原子力ムラの隠蔽体質と原発推進の姿勢は一向に変わらないと言って良いが、そんな中で政府が2030年代に「原発ゼロ」を達成する目標を立てた。しかしこれは、少なくとも今後20年くらいは原発をやめないということである(当然の言い換えだが)。もちろん、現時点における最良の選択としての全原発の即時廃炉を決定した場合でも、今後数十年は常にシヴィア・アクシデントと隣り合わせである状況には変わりない。政府が、これから半世紀以上にわたって、日本国内で大地震や津波、あるいは狭義の人為的ミスによるシヴィア・アクシデントが起きないと断言出来る確証を得ているとは絶対に言えないし、言えるはずもない。シヴィア・アクシデントが起きないことを祈るのみである。

 私はかねてより、日本は地震多発国ゆえに原発を運用すべきではないと考えてきた。しかし、最近は、日本が仮に地震がほとんど起こらない国であったとしても、原発を絶対に建設・運用してはならないと考えるようになった。あるいは、地震云々以前に、原発を絶対に建設・運用してはならないという結論しか出し得ない「ような」国だと考えるようになった。その理由たる原子力ムラの様相については、管理技術の未熟さも含めて言わずもがなだが、逆にそんな様相であるからこそ、原発をやめられないのかもしれない。3.11以後、原子力ムラが原発政策、そして、原発運用に関するあらゆる倫理を少しでも転換・向上してくれれば、このような考え直しはしなかったろうと思う。さらに言えば、国と東電があの事故を反省し、誠実に謝罪し、脱原発施策に転換してくれれば、過去の過ちへの言及はやめ、心から敬意を払いたい。

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