昨年12月の衆院総選挙の直前に、原発問題が最大の争点となるべきであるとブログに書いた。今度は参院選ではあるが、全く同じことが言える。脱原発すべきである、あるいは、原発を再稼働すべきでないとする世論の割合は調査機関によって異なるが、概ね国民の半数強が脱原発を望み、再稼働に反対しているといったところだろうか。メディアはこぞって、前回の衆院総選挙と同様、今回の参院選でも自民党が躍進すると報道している。しかし、いくつかの世論調査によると、自民党支持者の半数くらいが原発再稼働に反対であるようだ。
今回の参院選において、原発問題と比肩するほど重要な争点となるべきは改憲問題である。この問題は、究極的には日本が再軍備化するかどうかという点に収斂し得るのであり、日本のサステイナビリティが守られるかどうかに関わっている。そして、自民党の改憲草案に焦点を絞れば、国民の人権を侵犯しかねない条文のオン・パレードであるという問題もあり、看過出来ない。改憲問題は原発問題のように生命の危険性が可視化され得ないせいか、危機感を覚える人が多くはないようだ。
参院選の投票の際に重要な判断基準となるべきこれら2つの問題について、それぞれ反対の立場を取る有権者の受け皿としての各野党が分散しており、民意が反映されにくくなっている。このことが、棄権をことさらに生みかねないのは容易に予測出来る。棄権イコール自民党への白紙委任とは言えないのではないか。投票という憲法で保障された権利の行使が、ほんの1ミリでも日本を安全な民主主義国に近付ける為の、極めて重要な一歩である。