安部政権を支持するには特別な事情が要る

 第2次安倍政権が成立してから7年以上の歳月が流れた。この間に政治、法律、経済、生活、産業、エネルギー、環境、食、医療、防衛、国際関係、教育、人権、マイノリティ問題、学術、芸術、文化・・等々、あらゆる面において日本をこれでもかと壊し続けてしている安倍政権、なかんずく国会では嘘の答弁を数知れず繰り返し、野党議員の質問にはろくに答えず、国民を愚弄し続ける安倍首相を支持する人々が未だに存在することに、驚きの念を禁じ得ない。3年ほど前、安倍政権を支持することは政治的に間違いであるとブログに記した。森友事件の際、安倍晋三総理大臣による事実上の命令に従った佐川宜寿理財局長(当時。2017年に安倍首相に「忖度」した「功績」により国税庁長官に昇格)のせいで財務省職員の赤木俊夫さんが自殺に追い込まれたことが、遺書という動かぬ証拠によって明らかにされたことは、安倍政権、なかんずく安倍首相を支持するには今や特別な事情が要ることを意味していると、私は考えている。安倍首相を支持するということは、殺人者を支持することと同義であるのだ。
 
 今日は、安倍政権あるいは安倍首相を支持する人々というのがどのような層であるのかを考えてみたいと思う。所謂「ネトウヨ」の実態や該当層については、これまでさまざまな憶測と分析がなされて来た。以下に記す事柄は、統計学的な調査を踏まえたものではなく、あくまで私が摂取し得るメディアの情報と、周囲でじかに観察した経験を踏まえたものであることをお断りしておきたい。

 ①政権ステークホルダー
 この層が最も分かりやすい。具体的には、直接安倍首相と会食を交わしている財界の人々、安倍政権から利益を得ている大企業の首脳が該当する。当然のことながら、これらの人々は現代日本産業界のトップ・オヴ・エリートであり、ほとんどが高学歴を有する優秀な面々である。安倍政権がこの国の民主主義を脅かす最大の存在であることを理解出来ないはずは無いのにも関わらず、社会的ポジションを死守することと度外れな拝金主義思想により、安倍政権のイエスマンであることを止められない状態にある。同様に高学歴を有する優秀な人々である、研究者や評論家、弁護士をはじめとする知識人、そして、作家といった層のほとんど(例外的な人々は安倍政権と利害関係にある)と鮮やかなコントラストを成していると言える。

 ②ドブ板受け入れ選挙民
 ごく大雑把に言えば、地域コミュニティのしがらみと利権の中で支持している層である。土木業界の社員とその家族、明るみに出ていない賄賂を受け取る住民、農協職員といった層が代表的である。小渕優子議員を「地域家族」的メンタリティで支持している高齢者などは分かりやすい例であり、全国的にも知れ渡ることとなった例でもある。

 ③惰性的支持者
 あえて「惰性的支持者」と書いたが、後述する「消極的支持者」とは区別している。あくまで自己の強い意志によって支持している層である。安倍政権であるからこそ支持するというより、戦後長期政権として安定した社会を築いて来た政党(それは一面では正しい)としての自民党を、まず支持している。安倍政権がもたらした日本の壊滅状態には目をつぶり、過去の自民党政権の長所のみを見ようとする人々が多いようである。

 ④消極的支持者
 この層に属する人々が最多人数を占めているのではないか。自民党も安倍政権も良くないのだが、他に代わる政党、首相が存在しないので支持するという人々である。選挙で自民党に投票はするが、本意でしているのでは無さそうである。3.11以降、脱原発主義者に対して原発に代わるエネルギーを示すよう求めた層の一部が、この層に該当するのではないか。

 ⑤ネトウヨ
 言わずと知れた、ネット界で最もキワモノ的関心を持たれる自民党支持者層である。ネトウヨの定義ははっきりしていないが、ここでは上述の支持者層とは区別して考えたい。この狭義の「ネトウヨ」は一般に熱狂的安倍政権支持者/安倍首相支持者と見做されており、カルト宗教信者とよく比較される他、英語版Wikipediaも存在するほどである。しかし、この層には実際には大別して2つあると考える。一つ目は真正のネトウヨ、そして二つ目は「ビジウヨ」(ビジネス右翼)と呼ばれる人々である。後者の代表は、「自民党ネトサポ(自民党ネットサポーターズクラブ)会員として、ネット上の安倍政権/安倍首相への批判的書き込みを片っ端から削除し、逆に礼賛書き込みを多数行って報酬を得ている人々である。したがって、この層にはイデオロギーや思想を全く持たない者も多く含まれるということになる。
 ここで特記したいのは一つ目の真正ネトウヨである。特段金銭的享受に与れる訳でもなく、コミュニティに属しているとも思えず、自民党の歴史に対して特別な位置付けを行っている③のような層に属していないであろうに、安倍政権/安倍首相を支持することには、際立って特別な事情が要ると考えられるほかない。
 私がこれまで得た直接の経験から言えば、やはり巷間言われるような傾向を持つ人々がネトウヨになっていることは明白である。その傾向に私見を加えると、

●権威や権力に弱い
●理性よりも感情で動く
●他人の悪口が多い
●独善的である
●それにも関わらす、あるいはそうであるからこそ、自身の仕事や学業の能力においてコンプレックスを持っている
●そのことが社会に対するルサンチマンに転化/転嫁を遂げている

とまとめられる。真正ネトウヨは最悪の社会、強く批判されている安倍政権/安倍首相という「権力装置/権力者」と精神的に一体化することによって自身を強者であると意図的に錯覚させ、全能感に陶酔する中で、安倍政権/安倍首相批判者に対して激しく毒づくのである。しかしその一方で、批判者の理路整然とした反論にはまともに答えられず、沈黙するか逃げ回るかのどちらかである。

 以上である。

 改めて書き添える必要も無いと思うが、真正の保守の人々は、安倍政権/安倍首相を批判しているし、論理的にそうするしか無い。安倍政権/安倍首相支持者は似非保守であり、だからこそ、便宜的に「ネトウヨ」と呼ばれるのだ。広義のネトウヨはこれにほぼ該当すると言って良い。

 

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