今年は5年に一度の動物愛護法改正の年だ。改正にあたってのパブリック・コメントに応じて意見を提出した人も少なくないと思う。この法律改正の焦点の一つは、ここ数年のうちに広く知られるようになった動物殺処分問題である。現行の動愛法第35条では、行政サイドに持ち込まれた犬猫を引き取ることができる、という内容となっており、国が殺処分に事実上のお墨付きを与えてしまっているのが大問題なのである。これを「一切の引き取りを拒否しなければならない」に改正する必要がある。例えば三重県亀山市みどり町の自治会では、猫を積極的に捕獲して保健所に連れて行き、殺処分を求めるというキャンペーンが盛んに行われているが、行政サイドで引き取りそのものを拒否出来ないという前提があるからこそ、こうした慣行が横行してしまうのである。今挙げた例は自治会が組織的に殺処分を推進するという点でやや極端かもしれないが、安易に保健所に犬猫を持ち 込む飼い主が現在でも一向に後を絶たないのは事実である。 ドイツでは殺処分ゼロを既に達成しているし、海外先進諸国では殺処分を減らす施策が行われている。
原発問題もそうだが、命を蔑ろにする施策は国を決して豊かにはしない。いや、それどころか、最終的には国を衰亡に導くのではないだろうか?われわれ芸術家の使命の一つに、本質的に精神の豊かさを目指すという重要な核心部分がある。それはまず第一義的には作品そのものによってなされるべきだが、次いでなされるべきなのは、社会的に具体性を持った行動だろう。 今仕事で忙しい人は睡眠時間を、余裕のある人は遊びの時間を15分ほど削って、与野党各議員に動愛法第35条改正を訴えて欲しい。国会での改正に向けた審議は今大詰めを迎えているところだ。