新型コロナウィルスと東京オリンピック


 日本はここまで後進国であるとは思わなかった・・言うまでもなく、新型コロナウィルス感染対策を見ての実感である。この後進国ぶりは、目下、中国、韓国、台湾、香港、シンガポールで進行する科学的実効性のあるウィルス感染対策と対比すると、鮮やかで目も眩みそうである。思えば3.11福島原発事故は民主党政権下で起きたが、原発に乗り込んで東電社員の撤退を食い止めたことに代表されるように、菅首相自身の対応は概ね称賛されて然るべきものだったと思う(同じ民主党でも、野田政権時代は批判されるべきことが多かったが、それについては今は措く)。むしろ、文科省によるSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)隠しや御用学者による放射能安全神話の拡散といった、官邸以外の組織や原子力ムラによる放射能拡散の矮小化が問題であった。そして、経済界を中心に原発推進論が事故から日をそう置かずして頭をもたげて来たのは周知の通りである。原発事故後の対応も脱原発政策も失敗したのは、日本という国全体の構造的欠陥によると言って良い。今回の新型コロナウィルスの感染対策についても、基本的には同様のことが言い得る。その最たるものは、ウィルス感染が疑われる患者の受診をたらい回しにする病院や、検査を事実上拒否する保健所といった、医療の現場機関のおざなりの対応(というより非対応)であろう。他にもさまざまな場面でさまざまな機関が失態を演じているが、そうした総体を見ての実感が冒頭に記した文言である。しかし、今回は安倍政権による対応の失敗が無ければ、これほどまでにウィルス感染が拡大することは無かった。日本における新型コロナウィルス感染拡大は、安倍政権による人災であると断言出来る所以である。


 今回のウィルス感染対策の失敗をほぼ時系列に沿って大別すると、以下の3つとなるだろう。第一は、感染初期における水際対策を一切実施しなかったことである。第二は、「ダイヤモンド・プリンセス」の感染に関する一連の失敗である。まず、だらだらと長期にわたって乗員・乗客を船内に留め置いたこと、そして、厚労省の役人が指揮系統の上位に立っていた為に、船内におけるゾーニングが事実上行われ得なかったこと、さらに、民間企業から検査キット提供の申し出があったのにも関わらず、感染症行政における利権を死守する為に安倍首相が拒否したこと、そして最後に止めを刺すように、船客を下船させる直前に検査を行わず、公共交通機関を使って帰宅させたことである。第三は、国内において感染者あるいは感染が疑われる人々を病院と保健所がたらい回しにしたことに尽きる。これらは素人でも問題があることはすぐに分かる程度の事柄である。以上、大別した3つの感染対策の失敗以外にも、関係各所を大混乱に陥れる大失敗が演じられたのは周知の通りである。直近では、学校の一斉休校要請と、今日(3月9日)から実施された中韓両国からの入国制限措置がそうだ。一つ目は全国一律に休校要請をすることに何の合理性も無いばかりか、社会全体を混乱に陥れることはすぐに想像がつく。そして二つ目など、合理的で徹底した感染拡大対策により感染のピークを過ぎた中国や、日本とは比較にならないほど合理的で徹底した感染拡大対策が現在進行中である韓国からこの今、入国を禁止して何のメリットがあるというのだろうか。それどころか、今回の措置によって韓国の感情を煽ってしまい、徴用工問題に次ぐ日韓関係の破壊に繋がろうとしている。外交音痴と言われる安倍首相の面目躍如たる所以である。現在、安倍政権による新型コロナウィルス対応が何処を取っても拙劣の極みであることは、世界中に知れ渡っている。先日(3月6日)、自民党の世耕弘成参院幹事長が、安倍首相の退任は世界が許さないと発言したのは、井の中の蛙的思考の表れであり、笑止千万である。


 日本が後進国であることは、このブログでも度々指摘して来たが、安倍政権が長期化するにつれてその度を増し、今や「後退国」となって来ていると考えざるを得ない。新型コロナウィルス禍がそのことを浮き彫りにしていると実感する。今日(3月9日)は、この1~2週間がウィルス感染が拡大するか収束に向かうのかの分岐点となる旨、政府の専門家会議があまり科学的とは言えないステートメントを出してから丁度2週間となる日である。予想通り、感染拡大はピッチを上げながら進行中である。そして、そんな状況下にありながらも、在来メディアのTVや新聞は東京オリンピックを開催出来なくなるかも知れない可能性や、無観客で行わなくてはならなくなる可能性について危惧している。新型コロナウィルス禍があろうが無かろうが、原発事故が収束せず、未だ避難生活を続ける人々が居られるというのに、そして開催都市誘致にあたって贈賄が行われ、開催費も何倍にも膨らんでいるというのに、オリンピックを強行しようとすること自体が、狂気の沙汰である。もともと、安倍首相がフクシマはコントロールされていると世界中を騙して勝ち取って来たオリンピックである。新型コロナウィルスの感染拡大はオリンピックを返上するチャンスである。しかし、在来メディアは利権があり、「本番」における取材権の剥奪を恐れるあまり、絶対にオリンピック開催について疑義を呈することはしない。唐突であるが、この国では皇室の存廃是非について在来メディアが視聴者や街行く人々にアンケートを取ってはならないのは、公然の秘密である。東京オリンピックの開催是非についても同様であることは想像に難くない。と言うよりも、そう考えないことに合理性は無いであろう。何が何でもオリンピックは強行されるに違いない。その時に、日本は本当の後退国、いや、転落国になるのではないか。今からそう指摘しておきたい。

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