今回の福島原発震災が発生する以前は、原発はCO2を排出しないクリーンなエネルギーだと喧伝するTVコマーシャルがさんざん流れていた。また、福島第一原発の破壊状況や放射線物質発散について少なく見積もる専門家が、大勢見られる。これらは言うまでもなく、電力会社がTVのスポンサーとなっているからだ。今回の人災で、インターネットや各SNSの方が既存メディアより情報の信頼度が総じて高いことを、多くの人が実感しただろう。
これからは原発問題に限らず、以前にも増して多角的に各メディアに目配りし、読み取る能力が問われる。その為には、当該領域の知識とその周辺領域の知識の獲得のほか、政治的な語りについてのリテラシーの醸成が求められるだろう。最も当惑するのは、ある問題についての見解が、識者によって多岐にわたっていたり、あるいは対照的であったりする場面である。しかし、情報の洪水の中で、正しい判断のもととなる知見を論理的に組み立て、推量するという作業を地道に行っていけば、最適解に近付くのだろう。そう信じている。