平和に向けてのサウンド駅伝

「平和に向けてのサウンド駅伝」開催にあたって

 ロシアによるウクライナ攻撃、イスラエルによるガザ攻撃等、21世紀に入ってもなお戦争が絶えることの無い世界に、われわれは生きている。このイヴェントを計画してからも、アメリカがヴェネズエラとイランを相次いで攻撃しているし、日本の高市は台湾有事発言で中国を刺激し、アメリカの言いなりになって同国から大量の兵器を購入しようとしている。また、つい先日には熊本市街地に「反撃ミサイル」が配備され、ゆくゆくはトマホークの配備も計画されている。こうした動きのなか、戦争を回避するのも遂行するのも、政治家の権限における意思と能力にかかっており、かたや芸術家は実効的な手立てを何ら持たない。しかし、われわれ表現者たる文化人は知識人と同様、社会をより良いものとすべく、ひとびとの意識や行動を喚起することは可能であり、すべからくそうあるべきである。現在、芸術家は反戦平和を社会に対して継続的に訴求する使命を帯びていると確信する。そんなことは既に分かっているから必要ない、というのは少し違う。例えばヒロシマとナガサキ、フクシマの悲劇は、繰り返し伝えられることにより、ひとびとの意識から抜け落ちることを回避し得ているのである。これほどに多くの出来事が世界中で継起し、オンライン上でそれらの情報が只々消費され更新され、そして忘れ去られていくなか、平和への思いを持ち続けるというのは、一般に考えられているよりは決して易しいとは言えない営為なのである。
 本公演では、さまざまな発音機構による洋楽器と邦楽器、ヴォーカルを担う音楽家10人による演奏と、企画提唱者であるアース・アーティストの池田一氏による水を用いたパフォーマンスが交差し合い、平和への思いをそれぞれの仕方で奏で合う。水とはその向き合い方次第で人間を生かしもすれば殺しもする物質であり、不定形にして融通無碍な存在である。つまり、戦争と平和の間で揺れ動く人間にとって、生存に向かう水への対し方が平和の構築のメタファーとして機能し得ると理解することが可能である。本公演において池田一氏のウォーター・パフォーマンスは、さまざまな文化が交流する場としての「水辺」と、音が集まり再出発する「音駅」(同氏による造語)という2つの概念を併せ持った場を表出する。以上が本公演における水の機能であるが、一方で音楽自体が持つその不定形性と流動性がもたらす希望については、言うまでも無いだろう。公演当日には何が起こるかまだ誰にも分からない。しかし、われわれが持つ平和への強い意思の共有だけは、おいで下さるみなさんに確実に伝わらんことを切に願う次第である。(小森俊明)

公演概要
開催日時:2026年4月10日(金)18時30分〜20時頃
開催場所:サウンドスタジオノア下北沢Cst(Cスタジオ)
入場料:無料/ただし、500円以上のカンパをお願いいたします
企画提唱:池田一
主催:小森俊明
制作:河合孝治
Franklin Furnace’s 50th Birthday JUBILEE Party(Brooklyn Academy of Music (BAM),NY,ディレクター:Harly Spille)の同期イヴェント

Franklin Furnace’s 50th Birthday JUBILEE Party
https://franklinfurnace.org/birthday-jubilee/

出演者(あいうえお順)
池田一(いけだ・いち)/ウォーター・パフォーマンス
河合孝治(かわい・こうじ)/シンセサイザー
小森俊明(こもり・としあき)/ピアノ
庄子勝治(しょうじ・まさはる)/サクソフォン
千鶴子(ちづこ)/ヴォーカル他
棚谷ミカ(たなや・みか)/ドラムス
鵺魂(ぬえたま)〜玉響海月(たまゆら・くらげ)/ノイズ
         玉響海星(たまゆら・ひとで)/琵琶
波田生(はた・いく)/ヴィオラ
丸田美紀(まるた・みき)/箏
望月太喜之丞(もちづき・たきのじょう)/鼓

サウンドスタジオノア下北沢
https://www.studionoah.jp/

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